自己破産とは

破産制度について

 @破産とは、債権者の債務を消滅させる制度ではありません。破産とは、債権者の全

  財産や収入を充てても、債務の弁済ができなくなった場合に、あなたの全財産を強

  制的にお金に換え(換価)、それをすべての債権者にその債権額に応じて公平に分

  配し、債務を清算する制度です。

  債務者自身が申立てる破産のことを「自己破産」といいます。破産手続きにおいて

  清算される債務は、クレジット会社やサラ金など金融関係の債務だけせなく家や車

  のローン、勤務先や友人・知人・身内からの借入など、債務者が支払うべきすべて

  の債務が対象となります。したがって、破産申立てをする以上、裁判所に対しすべ

  ての債務を明らかにしなければなりません。

  また、換価すべき財産とは、不動産・自動車(年式・車種による)・電話加入権・

  株・現金・預貯金・貸金・売掛金・保険の解約返戻金や将来受け取ることのできる

  退職金などをいいます。

 

 A破産者の支払義務を免除する制度は、免責という制度です。

  破産宣告と同時に「廃止」の決定がされると、破産手続は終了しますが、債務はそ

  のまま残ってしまいます。そこで、誠実な債務者を救うために、残った債務の支払

  義務を法律上免除する「免責」という制度が設けられています。免責の申立てを認

  める決定(免責許可決定)が確定すると、債務者の破産宣告前に負担した債務は、

  一部の例外を除いて、支払義務が消滅します。一部の例外とは、滞納している税金

  ・健康保険料・社会保険料・罰金・故意の不法行為による債務・債権者一覧表に記

  載しなかった債務などです。免責許可決定が確定した場合、または免責を受けられ

  なくても破産宣告を受けてから10年が経過した場合、破産宣告によって失った法律

  上の資格等は回復(復権)します。

 

 B免責が受けられない場合

  免責の目的は、誠実な債務者に立ち直る機会を与えることですから、債務者が立ち

  直る努力をしない場合、裁判所の手続を利用したり免責を受ける利益がないと判断

  されることもあります。また、下記のような不誠実な行ないがあると、免責されな

  いことがあります。

  a 自分や他人の利益を図ったり、債権者に害を与える目的で自分の財産を隠した

    り、その財産的価値を減少させた場合

  b 浪費やギャンブルによって、自分の財産を著しく減少させたり、債務を増やし

    たような場合

  c クレジットで商品を購入して、その商品をすぐに安い値段で業者に売り払った

    り、質入れしたりして現金を取得した場合

  d すでに債務を返すことができない状態であるのに、そのことを隠してお金を借

    りた場合

  e 虚偽の事実を記載した債権者一覧表を、破産や免責の申立ての際に裁判所に提

    出したり、裁判所に対して、自分の財産について虚偽をのべた場合

  f 免責の申立て前10年以内に免責を受けたことがある場合

  g 破産法に定める破産者の義務に違反した場合

 

自己破産の流れ

 破産手続はどのように進むか

 @破産管財人選任及び同時廃止について

  債権者から破産の申立てがあると、裁判官が債務者から事情を聞き(債務者審問)、

  債務者が支払不能の状態にあるかどうかを判断します。そして、支払不能の状態に

  あるかどうかを判断します。そして支払不能の状態にあると認められた場合、破産

  手続の決定をします。この決定を「破産宣告」と言います。通常、裁判所は、破産

  宣告を行うと同時に「破産管財人」(普通は弁護士)を選任し、この破産管財人が債

  務者の全財産を調査・管理して、これを処分し、お金に換えます。その後、法律に

  従い債権者全員に対しその債権額に応じて平等の割合で分配し、破産手続は終了し

  ます。このように、破産管財人を選任して破産の手続を進めていくのが本来の手続

  ですが、債権者集会招集費用や破産管財人報酬など、破産手続を進めるための費用

  が必要で、債務者に、その費用に代わるだけの財産のあることが前提になります。

  しかし、債務者の財産が少なく、これらの破産手続費用にも満たないことが明らか

  な場合には、破産管財人を選任せず、破産宣告と同時に手続を終わらせる決定をし

  ます。これを破産の「同時廃止」といいます。この場合には、破産管財人が選任さ

  れませんので、原則としては、債務者の財産を管理したり、お金に換える手続は行

  われませんが、事案によっては、債権者に対する按分弁済を行ってもらうことがあ

  ります。

 A破産者になっても、選挙権や被選挙権を失うことはありませんが、警備員・保険外

  交員・弁護士・公認会計士・宅地建物取引業者・公証人・後見人・補佐人・遺言執

  行者・法人の理事・株式会社の取締役等にはなれないという資格の制限が生じます。

  さらに、破産管財人が選任された場合には、居住の制限、通信の秘密の制限等が生

  じます。

 B破産者は、こうした法律上の制限のほか、破産宣告を受けたということで、社会的

  な信用を失うことになり、取引や日常生活の面で、いろいろと不都合が生じること

  も考えられます。また、債権者が破産宣告を受けると、「官報」(国が発行してい

  る新聞)にその事実が掲載されます。そして破産宣告が確定すると、その旨あなた

  の本籍地の役場に通知されます(ただし、戸籍謄本には表示されません)破産制度

  は、過大な債務を清算するための最後の手段ですから、特定調停、個人民事再生な

  ど、まずは破産以外の前向きな解決方法を検討し、本当に破産手続を選択してよい

  かどうか、よく考えてください。

 

破産の申立ての方法

 @申立てをする裁判所

  自己破産の申立ては、申立書及び証拠書類を作成して、債務者の所在地(住民票の

  住所地でなく、債務者が実際に移住している所)を管轄する地方裁判所(又はその

  支部)に提出します。

 A申立てに必要な書類

  申立書・陳述書・戸籍謄本・住民票写し・そのほか債務や財産に関する証拠の書類

  等を用意し、裁判所に提出し、必要な費用を納めて行います。それらの書類には真

  実をありのまま記載する必要があり、財産を隠したり、これまでの経緯などについ

  て虚偽を記載した場合は、免責を受けられないことがあります。

 

破産申立て時の注意点

 @破産の申立てから免責許可決定が確定するまでには、手続が順調に進んだとしても

  数ヶ月かります。この間は、債務者の法律上の支払義務が消滅したわけではないの

  で、債権者によっては請求や差押え手続を進めてくる場合もあります。また、債権

  者の一部だけに返済をすることは、たとえその債権者が親族や友人だったとしても

  債権者が平等に返済を受けるという破産手続本来の目的に反する行為です。その態

  度によっては免責されないことがありますので、債権者との対応には十分注意が必

  要です。

 A破産申立てをした後、借入や購入をして新たな債務を発生させると、免責されない

  ことがあります。

 B裁判所は、債権者に対して意向の照会をするなど、職権で事実を調査することがあ

  ります。

 C債権者との対応を誤ると、免責されなくなったり、色々なトラブルに巻き込まれる

  可能性があります。言動には十分注意してください。

 

免責申立ての方法

 @免責の申立ては、原則として破産の申立てと同時に行ってください。破産宣告後に、

  免責申立てをすることもできますが、その期限は、破産宣告及び同時廃止決定が官

  報に掲載されて2週間経過して1ヶ月以内です。この期間を過ぎてしまうと免責申

  立ては却下されますので、トラブルのないように破産申立てと同時に免責の申立

  てをしてください。

 A破産申立て後、債権者などに変更があった場合には、改めて提出し直すして書類が

  あります。

 B免責の審尋期日については債権者に通知され、債権者には、免責申立てに対して異

  議を申し立てる機会が与えられます。

 C免責許可の決定は「官報」に掲載され、掲載後に債権者から不服申立てがされない

  まま2週間が経過したとき確定し、その効力が発生します。

 (名古屋地方裁判所民事第2部破産係、資料より)

 

 自己破産の流れ

 

破産法改正の概要

 1.破産法改正の目的

  破産手続の簡素化、敏速化を図ること、今まで蓄積された判例等を条文化するこ

  とにより、実務の動向にあわせ時代の要請に対応するため。

 2.施行期日

  平成17年1月1日予定

 3.個人破産に関する改正

  A.自由財産

   破産手続の対象とならず、破産者が自由に使用できる自由財産の範囲が拡大さ

   れ、99万円となります。

  B.免責不許可期間の短縮

   旧法では、再度の免責の制限期間は10年間と規定されていたが、7年に短縮され

   ました。

  C.免責手続中の個別執行禁止

   免責手続中は、非免責権を含めて、全面的に個別執行が禁止されます。

   また、免責手続中の強制執行も禁止されました。

  D.裁量免責の明分化

    旧法でも、免責不許可事由があっても、裁判所の裁量によって免責可能または、

   一部免責となるのが通説でしたが、これが明分化されました。

  E.非免責債権の拡大

    旧法では、免責対象となっていた生命身体関係の故意・重過失の不法行為・扶

   養料が非免責債権に追加されました。

  F.その他

   免責不許可事由の調査方法の簡素化

   破産者の免責不許可事由の調査協力義務

   審問期日の任意化

   債権者異議申立制度を廃止、意見申述制度の新設

 

自己破産申立

 名古屋地方裁判所では、ご自身で自己破産の申立を考えている人のために申立の書類

 が用意されています。ただし、ご自身で申立を考えている人は、必ず専門家に提出書

 類を確認してもらってください。書類の不備がある場合、受付をしてもらえません。

 また、裁判所では、書類の作成のアドバイス等もしておりません。特に法人や自営業

 (廃業後1年未満を含む)の方は、書式が異なり手間もかかりますので、なるべくなら

 ば(個人で申請される人もいますが)弁護士、司法書士に依頼されることをお勧めし

 ます。破産申立書一式の記入等について。本人申請で破産手続をする人は参考にして

 ください。

 A.破産申立の際の提出書類

  1.破産申立書・免責申立書・陳述書・財産目録・債権者一覧表・公租公課一覧表・

  滞納税金等一覧表

  家財道具等目録・家計の状況・証拠書類一覧

  2.戸籍謄本及び住民票(世帯全員のもの)

  3.財産関係の書類

  (1)@不動産を所有している場合には、登記簿謄本及び固定資産評価証明書

   *建物だけ所有の場合はその敷地の、土地だけの場合は土地上の建物の登記簿

    謄本も一緒に提出する。

    A不動産がない場合には、「固定資産課税台帳に登録のないことの証明書」

  (2)現在の住居が借家であれば、その賃貸借契約書の写し

  (3)自動車を所有している場合には、車検証の写し

   (初年度登録から丸5年を経過していないものについては査定額証明書も添付する)

  (4)電話を所有している場合には、電話加入原簿登録事項証明書

  (5)預貯金通帳の写し(表紙・定期預金欄を含めて記載された部分全ての写し)

   *残高が0またはマイナスであっても提出する。

   *当座預金があれば、取引明細書も提出する。

  (6)保険に加入している場合には、保険証書の写し及び解約返戻金額証明書(当該

    保険契約を現時点で解約した場合、受け取ることができる解約返戻金額の証明

    書・現時点ではまだ解約する必要はありません)

  (7)保険契約をしていたが、過去1年以内に解約した場合は解約返戻金額の証明書と

    その使途の報告書(1年より前に解約した場合でも金額によっては必要)

  (8)現在就職している場合には、収入明細写し(申立前2ケ月分)及び源泉徴収票写し

    並びに退職金規定及び仮に現時点で退職した場合の退職金額がわかる書類

    (実際に退職する必要はありません)

  (9)自営業の場合は、確定申告の写し(最新2年分程度)

  (10)その他、財産的価値があると思われるものにつき、その資料(株、ゴルフ会員権等)

 4.負債関係の疎明資料(各債権者の債権現在額がわかるもの、コピーで提出)

  借入時の契約書及び債権者からの請求書写し等(最新のものを一社につき一枚)

  *債権者一覧表記載の債権者番号を、疎明資料の右上に記載する。

 5.現在、病気等のために就業が困難な場合は、診断書の写し

 

全般の注意

 1.裁判所に提出する書類は、黒のペンまたはボールペンで記入してください。

  鉛筆のものは受付でいませんが鉛筆で記入してコピーをとったものに署名捺印

  して提出することはかまいません。書類は、読みやすい字で丁寧に書いてくだ

  さい。

 2.裁判所に提出する書類のうち、原本を提出するもの(破産申立書・陳述書・債

  権者一覧表など)は、写しをとってあなた自身の控えにしてください。今後の

  手続き中に必要になることがあります。

 3.提出する証拠書類は、A4サイズでコピーをとってください(大きいものはA3片

  袖折りでも可)

  左側に綴じる余白を設け、小さく切り取らないでください。

 自己破産制度は、国が認めている制度です。ですから堂々と利用して、人生をやり直

 せばいいのです。中には「借りたものは、返せ」という人もいますが、貸手の責任も

 あります。サラ金はあなたの経済状況を知りながら返せないと分かっていながら貸出

 しをしているのです。